玉置神社を参拝した翌日、私たちが向かったのは、知る人ぞ知る神社、平河弁財天でした。
平河弁財天は「呼ばれないとたどり着けない」と言われる神秘的な場所です。
観光案内にもほとんど出てこず、道も分かりにくいのですが、なぜか行こうと決めた日には不思議と迷わず辿り着けるという話があります。
私たちもまるで導かれるように、するすると道を進み、気がつけば鳥居の前に立っていました。
境内は決して広くはありません。しかし、その小ささがかえって厳かな空気を強め、辺り一帯に漂う静寂と澄んだ空気が、まるで時間を止めたかのように感じられます。
弁財天は芸術・学問・財運・縁結びの神として知られています。古本屋という仕事をしていると、日々「本」という文化的資産に触れ、多くのご縁をいただきながら生きています。
その立場でこの場所に立つと、日々の活動が神様にそっと見守られているような、背中を押していただいているような、そんな感覚がありました。
この旅は、ただの観光ではなく、古本屋仲間と語り合い、互いの経験や思いを共有する大切な時間でもありました。
夜には宿で集まり、業界のこれからについて話したり、珍しい本の仕入れ話で盛り上がったり、普段はなかなかできない深い対話を重ねました。
そして日中は歴史ある神社を巡り、その土地の文化や信仰を肌で感じる。こうした体験は、本を扱う者にとって「知識を超えた実感」として心に残ります。
平河弁財天にたどり着けたのも、単なる偶然ではなく、ご縁がつないでくれた結果だと思います。古本屋という仕事は、ご縁の連続です。
本を譲っていただくご依頼もまた、神社での参拝と同じく、「呼ばれたからそこへ行く」ということなのかもしれません。
奈良の山々と古社をめぐる旅の中で、改めて「本と人をつなぐ仕事の尊さ」と「仲間と共に歩むありがたさ」を実感しました。
この経験を胸に、これからも一件一件の出張買取や蔵書整理を、誠実に大切に続けていきたいと思います。
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