「小さな手が指さした光の先に、去年の冬がありました」
去年の冬、休日に子どもと恵比寿ガーデンプレイスへ行った。クリスマスが近づいていて、駅を出た瞬間に広がる光の海に、子どもが「うわぁ…!」と声を上げたのを、今でもはっきり覚えている。
【撮影場所:渋谷区恵比寿】
手をつないで歩いたレンガの道。ライトアップされたツリーの前で、「ママ、これお星さま?」と指を差していた。小さな手が見上げるその先に、去年の冬の記憶が静かに重なる。
出張買取の仕事では、日々たくさんの本に触れる。人の思い出が詰まった本を扱うたびに、“時間を渡していく”ということの意味を考えるようになった。それは子育ても少し似ている気がする。昨日よりも今日、今日よりも明日、子どもが少しずつ世界を広げていく姿を見るたびに、ページが一枚ずつめくられていくような気がする。
去年の写真を見返すと、イルミネーションの中で笑う我が子の顔が眩しくて、「ああ、あのときはこの一瞬が永遠みたいに思えたな」と感じる。でも、こうして振り返れる写真があるということ自体が、もうすでに少しの奇跡なのかもしれない。
光に包まれた街で過ごした小さな時間。子どもはすぐに飽きて、「ママ、お腹すいた」と笑っていた。帰り道、手を繋いだまま見上げた空には、光よりも静かな月が浮かんでいた。
今年ももうすぐ、街に灯りが灯る。今度はもう少し大きくなったその手を握って、また一緒に見に行けたらいいなと思う。











