街の夜空が早く暗くなりはじめた頃、
街路樹のイルミネーションがひときわ目立ち始めたのを、
去年の12月の出張帰りに見つけたのを思い出します。
ハイエースのサイドミラーにぼんやり映る光、
荷台に積まれた本箱から少しだけ見えた白いページ。
その小さな“光の起点”が、
私たちが運ぶ本の“次の物語”の始まりに見えたのです。
出張買取という仕事は、
「本を引き取る」だけではなく、
その背後にある時間と記憶を受け取る瞬間でもあります。
そのあとで、その本がまた誰かの手に渡り、
そしてまた新たな灯りになることを願って。
そんな想いを胸に、移動の合間に一枚の写真を撮りました。
【撮影場所:丸の内】
木々に巻かれた光の粒が、静かな風に揺れていました。
その揺れの中に、
「どうか次に読む人にもこの温もりが届きますように」
という願いを感じました。
本棚の奥にしまい込まれていた本も、
こうして光の下に出てくると、
いきいきとした新しい命を得たように見えるのです。
ふと車外に出て、光を背に立つと、
冷たい風が頬を撫でていきます。
それでも、胸の内側には温かい記憶が残っていて、
「この冬も、本とともに歩きたい」と自然に思えました。
そして、この写真を見たときに感じたのは、
“時間が光とともに刻まれる”ということ。
今年のイルミネーション特集では、
この“光と本の重なり”をさらに多くの街で探していきます。
移動の合間に見つける一瞬の光、
そしてその先にある“誰かの読書時間”。
そんな瞬間を、皆さまにも届けたいと考えています。
夜の街を後にして、ハイエースのドアを閉めると、
荷台の本箱が少しだけ揺れました。
その揺れを見下ろしながら、
「また、たくさんの本と光に出会えますように」
と静かに思いました。











