東京書房は、私で三代目になります。
二代目を務めていた叔父が不慮の事故で急逝し、自由が丘に残された古本屋を引き継ぐことになったのが、今から約30年前のことでした。
当時の私は古本の世界についてまったくの素人でした。
本の縛り方も、値段の付け方も、古本相場も知らない。とにかく「叔父の残した古本屋を絶やしてはいけない」という思いだけで始めた日々でしたが、実際は不安でいっぱいで、どこから手を付けてよいか分からない日々が続きました。
そんな私を支えてくださったのが、古書組合に所属する先輩古本屋の皆さまでした。
「こうやって本を縛るんだよ」
「値段をつける時は、ここを見るんだ」
「市場で勉強するといい」
本当に一つひとつ、丁寧に教えていただきました。古本屋の世界の基礎も実務も、すべて古書組合を通じて学ばせていただきました。
もし古書組合に加盟していなければ、東京書房も、三代目を務める私自身も、ここまで続けてこられなかったと思います。
そして年月を経て、今では古書組合の理事として活動させていただいております。日々組合員の皆さまと接し、全国の古本屋と交流する中で、今も新しい学びをいただいています。
仲間から受け取る知識や経験は何ものにも代えがたく、私にとって大切な宝です。
また、古書組合に加盟することで得られる機会は数多くあります。
ネット販売サイト「日本の古本屋」を利用できること(東京書房は出店していませんが、多くの加盟店が活用しています)。
古本祭りや即売会に参加でき、お客様に直接古本を届けられること。
組合の市場を通じて仕入れや情報交換ができること。
こうした場は、古本屋を続けていくうえで欠かせない学びと交流の場であり、私にとっては心強い支えでした。
三代目を継いだ当初は、ただ必死で目の前のことをこなすしかなかった私が、いま全国の古本屋の仲間と語り合い、本を未来へとつなげる活動を続けられているのは、間違いなく古書組合に加入していたからです。
もし、これから古本屋を始めたいと考えている方や、すでに小さな店を営んでいて不安を抱えている方がいらっしゃるなら、私は心からお伝えしたいです。
「ぜひ古書組合に加入してください」。
古書組合には仲間がいます。助けてくれる先輩がいます。学びの場があり、本を未来へとつなぐ道があります。
お客様とのご縁、本とのご縁、仲間とのご縁――そのご縁をすべて大切にできるのが古書組合です。
叔父から受け継いだ東京書房を30年続けてこられたのは、古書組合があったからこそ。
そして今は理事として、その恩を次の世代につなぐことが自分の役目だと感じています。
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