今日の出張査定は、少し長引いた。
段ボールの数が予想より多くて、
最後の搬出を終えたときにはもう夜だった。
ハイエースのドアを閉めた瞬間、
ふっと冷たい風が吹いて、
「あ、冬が来たな」と思った。
帰り道、信号待ちの交差点でスマホを取り出して、
写真の整理をしていたら、
去年の大井町のイルミネーションが出てきた。
ちょうどこの時期、
同じように仕事帰りに撮った一枚だ。
【撮影場所:大井町】
光のアーチの下を人が行き交っていて、
スーツ姿の人も、買い物袋を持った人も、
みんな少しだけ足取りが軽いように見えた。
仕事終わりの光って、
どうしてこんなにホッとするんだろう。
本を運ぶ仕事は、体力勝負だ。
でも、現場で出会う本には、
それぞれの時間や想いが詰まっている。
査定をしながら、
「この本、誰が読んでいたんだろう」と考えることもある。
そして気づくと、
その“誰か”の想いを運ぶことが、
自分の仕事になっている。
去年の写真を見て、
そのときの疲れた手の感覚や、
街のざわめきが鮮明に蘇ってきた。
光は、ただの飾りじゃない。
あのときの自分を少しだけ励ましてくれた。
今年もまた、同じ光が街を照らす頃。
今度は少し余裕をもって立ち止まりたい。
去年は見過ごした小さな灯りにも、
気づけるような夜でありたいと思う。











