辞書って古本として買い取ってもらえるの?
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
いきなりですが、私は先日
とても変わった人物に出会いました。
その彼は、つい一ヶ月ほど前に
うちのお店にアルバイトで入ってきた
まだ大学生の男の子なのですが
ついこの間、買取で大量に入ってきた本を
みんなで仕分けていると
「これ、昔、誕生日に買ってもらおうとしたんですけど。」
「・・・高くて買ってもらえなかったんですよね。」
と言って、大漢和辞典という
ものっそい、ぶっとい辞書を
まるでガラス越しにトランペットを眺める
少年かのような眼差しで
うっとりと眺めはじめたのでした・・・
誕生日に?
辞書を欲しがる人間がいるだと・・・( ゚д゚)!
ということに、けっこう大きな衝撃を受けてしまった私は
「えっ、辞書って、なにかを調べるために使うの?」
いや・・・調べるというか・・・
「えっ、調べるんじゃないってことは読むの?」
・・・まぁ、そんな感じです。。
「読むのっ?!」
と、思わず質問攻めにしてしまったのですが。
何回、頭を捻ってみても
日常のどの瞬間において
「そろそろ、あれだな、辞書でも読むか。」
となるのかが、私にはわかりませんでした。
家に帰ってきて、ふぅ、とベットに腰掛け
まぁ、とりあえず辞書でも読みますかね。
と、なるのか。
はたまた、休みの日にガバッと
布団から飛び起きては
そうだ・・・辞書でも読もう!
みたいな、そうだ京都へ行こう的な感じで
思い立つものなのか・・・
いずれにせよ、それが彼にとって
良き時間であることだけは確かだったので
なんかいいなぁ〜、と思ったりしたのでした。
(さらに…)
古本の寄付という方法
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
いきなりですが、何かをどこかに
寄付したことはありますでしょうか?
私はというと・・・
お恥ずかしながら一度もないのですが。
この古本屋という仕事をしていると
たまに、名もなき誰かから
「寄付でお願いします。」
と ただただ、本だけが送られてくることがあります。
私はこの、顔も年齢も性別も
わからない者同士が
何かを繋いでいく行為というものに
なんだか少しだけ物語を感じてしまうのですが・・・
何というか、あれに似てると思うんです。
ご自由にお持ちください、の箱。
あれって、きっと
誰もが一度はどこかで見かけて
思わず足を止めてしまったことが
あると思うんですよね^^
そして、なんかこう、一瞬だけ
あれ、なーんか
良いもん見つけちゃったかもしれないぞ?
みたいな、ちょっとしたワクワクが
ふわっと心に宿るとも思うんですよ^^
そんなご経験はないでしょうか?
そして突如として迫られる究極の二択。
どうすんだい?
持って帰るのかい ?
持って帰らないのかい ?
どっちなんだい・・・?
おそらく大抵の人はそこで
「持って帰らない」を、選ぶのだと思うんです。
なぜならそこには
んー、持って帰ってもなぁ・・・
ばかりが並べられているから。
私も例に漏れず、なんだかんだ
後者を選択してきたことの方が多い人間です。
でも。
あのとき、一瞬だけ宿る
いつもとは、ほんのちょっとだけ違った
「おっ」というワクワクだけは
いつだって本物で
きっとたぶん、ほとんどの人が
“ 見つけないよりは、見つけた方が良かった ”
だとも思うんですよね^^
そんなご自由にお持ちください、の箱から
ある日、ボロボロのカラーボックスを
実家の部屋に持ち帰ってきたうちの父親は
その後、見事に大量のシロアリをわかせ
「ふざけんなよ。」と、私と母を二重に
ブチギレさせてくれたりもしましたが
そこで交わした「どうすんだよ、これ!」も
ないよりはあったほうが良かった
なのかもしれないと今となっては思ったりします。
そしてそんな
ないよりは・・・ に囲まれて過ごすことは
実はけっこう幸せなことなのだということも
あれから10年以上経った今だからこそ
思うことなのかもしれません。
捨てるくらいなら誰かに使って欲しい。
そんな、誰に届くのかもわからないまま
だだっ広い海に向かって流す
ボトルメールのような寄付の箱は
どんぶらこっこ、どんぶらこ〜と
今日も我々の元へと流れつき
「なにが入ってるのかなぁ」といった
底知れぬワクワクを運んでくれてきています。
その証拠にこの顔です。
ニカァ〜
良い顔してると思いませんか?
東京書房では、このように
寄付といった方法でのお受け取りもしております。
寄付の場合は
ご本人様確認書類がなくても
送っていただけますので
例えば、売ることが恥ずかしい本
(アダルト系など。)
も、ご連絡なしで送っていただいて大丈夫です^^
*50冊以上から、宅配買取のやり方と同じで受け付けております。
いつでもお気軽にお待ちしています。
本はダンボールに詰めておいた方が良いでしょうか?
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
よく出張買取の電話を受けていると
買取の当日までに
「本ってダンボールとかに詰めておいた方が良いんですか?」
と、聞かれることがあるのですが
実際は、何も入れずに
そのままにしておいていただいた方が
内容がすぐに見れるので
査定自体は早くできたりします。
・・・が
「えっ!そんなこと言っても、もう詰めっちゃったがな〜( ゚д゚)ノ」
という場合は、もちろん
そのままにしておいていただいて大丈夫です。
結論っ
どんな状況でも、我々はやらせていただきますので
ご心配なく、当日を迎えていただいて大丈夫です^^
と、言うことで
今回はそんな、たくさんのダンボールに
つまったままの状態の本がある
神奈川県川崎市の現場に行かせていただきました^^
たしかこれの20倍ほどの量が
まだまだご自宅の中に、てんこもりにありまして。
少しづつ、ちょこまかと運び出しては
ひっそりと、建物の隅で仕分けさせていただきました。
これがまた・・・
暑いこと暑いこと・・・。
真夏の炎天下の買取がはじめての私は
若干、心まで干からびかけましたが
すぐそこの花壇で、同じように力尽きて
干からびているカブトムシの旦那を見かけたため
とても人ごととは思えず
日陰で涼ませることにしたのでした。
ふぅ。
大変ですね旦那、今年の夏は。
旦那は、今年の夏はどうやって・・・
旦那?
・・・旦那!!
夏の日差しは、時として残酷な一面を見せつけます・・・
そんなこんなで仕分けを進めること3時間。
カーゴいっぱいに溜まった本たちを
段差にスロープを作りつつ
トラックに詰め込んでいきます。
いいか、ここにぴったり付けてだな?ぼうず。
押すぞ、いいか?
へいっ!
ほいこら!
・・・せっ!
よし、ここまで来ればもう大丈夫^^
あとは、お客様にこれからの流れをお話し
あ、なんか楽しそう。
今回も無事、買取を終えることができました。
ちなみに、夏の麦わら帽子は
人を3割ましで可愛く見せるパワーを
持っていると思うのは、私だけでしょうか?
後ろ姿がまるで少年のようです^^
東京書房の出張買取では
当日までに用意していただくものはなにもございませんので
本棚に入っている状態でも
床に野積みの状態でも
そのままにしておいていただいて大丈夫です。
もしもお考えの本がある場合は、まずはお気軽にご連絡くださいませ^^
埼玉県にある大学に買取に行ってきました
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
先日、私は買取に向かう途中の高速道路で
信じられないものを目にしました。
見てください、わかりますか?
前を走るトラックの
ナンバープレートのすぐ下に・・・
我らがヒーローと思しき
あのシルエットがあるではないですかっ!
こんなところでも 1人、果敢に戦っていたなんて・・・
頭が下がるばかりです。
さて。
それはそうとて我々スタッフも
今日もしっかり、与えられた任務を
こなさなくてはならないので
依頼のあった埼玉県の大学図書館へと
車を走らせていきます^^
行きの車では 窓ガラスに反射したスタッフと
外の景色が いい感じに溶け合っておりました。
大学に到着すると、現地の職員さんに
まずは残しておいて欲しいものと
持っていって欲しいものの確認をし
早速、作業に取りかかります^^
我々も、本の内容によって
持っていく場所が違うので
まずはそれを的確に
判断できるスタッフが仕分けをし
仕分け終わったものを、運んでいきます。
いい感じに風が吹いていて
暑いけれど、気持ちのいい日でした。
仕分けたものが溜まってくると
次第に運び出しのスタッフも増えていき
みんなんで協力して作業を進めていきます。
あぁ〜、このタイプの台車は
運びやすくて、本当に助かる〜^^
ゴロゴロゴロゴロ〜。
今回は我々だけでなく
提携している本の運送専門の業者さん
にも、来ていただいたので
大きなカーゴが 8台も待ち構えていました。
狭いところも2人で運べば なんとか通れたりします^^
作業が終わると、この通り
スコーンっと、吹き抜ける本棚の登場です。
ちなみに、今回のように
大学図書館などの場合は
作業後に、除籍証明書という紙を
記入していただく必要があります^^
さてさて、仕事が終わると
我々スタッフ全員のお待ちかね
「どこでご飯食べる?」タイム
が 始まるわけですが・・・
今回は、帰り道のサービスエリアで
それぞれ好きなものを、頼むことにしました。
食べ物を前にすると、みんなすごく嬉しそう。
私はこの日 ナポリタンを食べたのですが
発券機から出てきたチケットが 777番で
密かにテンション上がりました^^
ラッキー・トリプル・セブン!
これは良いことあるかもです^^
※東京書房では今回のように、東京以外の都道府県の大学でも買取をお受けしています。
もしも、お考えの本がおありでしたら一度お気軽にご相談くださいませ。
遺品整理と本
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
よくこの仕事をしていると
“すみません、〇〇の遺品整理なんですけど・・・”
といった電話がかかってくることがあります。
それは時に、父であり、母であり
ご自身のものであったりします。
古本屋という仕事が、こんなにも実は
人の死と関わりのあるもの
なのだということを
私はここで働き、はじめて知りました。
私自身は、まだ両親がどちらも健在なため
自分で遺品整理というものを
したことはないのですが・・・
それでも、一度だけ
忘れられない遺品整理の記憶というのがあります。
それはまだ私が19歳の頃だったのですが
ある日、近所の遊歩道を歩いていると
前から、あまり話したことのない
小学校時代の同級生が歩いてきました。
「あれ、すごい久しぶり・・・」
そう言った二言目にはもう
予想だにしない言葉が向こうの口から飛び出しました。
なぁ、花田・・・聞いてる?
ムラタのお母さん、もうながくないって。
え・・・そうなの?
ムラタ、というのは私が小学生の頃
一番といっていいほど仲良くしていた女の子でした。
小学校を卒業し、別々の学校に進学してから
自然と会わなくなったっきり
気づくと大人になっていたのでした。
そっか・・・ルイルイ・・・大丈夫かな。
そう思った数週間後にはもう
香典の列に並んでいるなんて
人生というのは本当に不思議なものです。
ドキドキしながら香典袋を抱え
沢山の参列者の頭越しから垣間みる
久しぶりの小学校時代の友人の横顔は
なんだか思っていたよりも落ち着いていて
どこか大人びて見えました。
私の番になり、ふと目が会うと
気づいているのかいないのか
どちらともとれるような眼差しで
彼女はとても丁寧にお辞儀をし
あちらへどうぞ、と促したのでした。
それから・・数ヶ月くらい経った頃でしょうか。
ちょうど今くらいモワっとした夏の夜。
「久しぶり、この前はありがとう。今から会えたりしないよね?」
と、誰から聞いたのか
いきなり彼女から連絡が入り
数年のあいだ途切れていた二人の時間は
ふたたび流れはじめたのでした^^
見てこれ、覚えてる?
ほら、これも!
そう言って彼女が次々に自分の部屋から取り出す
子供の頃のアイテムは
どれもこれもが信じられないくらい懐かしく
うっわぁぁーーーー!
という馬鹿でかい二つの声は
久しぶりに大きな音を立てて
深夜の住宅街に響きわたりました。
シッ!でかいって声が。
夜中なんだから。
そう注意しあいながらも、
もう止められない久しぶりの興奮した時間のなか
そういえば、さおりここ入ったことあったっけ?
といって彼女が案内してくれたのは
ちょうどその部屋の真下にある
床下の小さなスペースでした。
ないよ!こんなとこあったの?
そう言って屈みながら忍び込んだその部屋には
彼女の母と父のものが たくさん置かれてあったのでした。
うわ、若っ、めっちゃ美人なんだけど・・・
えっ、これまだ付き合う前のやつじゃない?
そんなことを言いながら ひととおり騒ぎ終わると
ふと、思い出したかのように彼女は言ったのでした。
「ちょっとは片付けないとね。」
うん、手伝うよ。
何からしようか?
うーーーーん。
とりあえずまずはこのスプレー・・・
なんとかしたいかなぁ。
そう言って彼女がチラッと見たのは
部屋の角にグチャッとまとめて置かれていた
あらゆる種類のスプレー缶でした。
屋上なら、今の時間なら
中身抜いても大丈夫かもしれない。
プスゥー・・・
スコっ・・・
あれ、全然出ないよ?
何十年も放置されていたそのスプレー缶は
いざノズル押してみも全く中身が上手くでてこず
仕方がないからカッターを底に刺して
力ずくで抜くことにしたのでした。
ブッ・・・シューーーー!
わっ・・・!
さした瞬間。
勢いよくあたり一体にたちこめた
スプレー缶の中身は
何十年と放置されていた時間も
一緒に溶け込んでしまったかのような
独特な刺激臭を放ち
私たち2人の目と鼻を
見事にぶっ壊してくれたのでした。
痛い・・・
痛くて、痒くて、鼻の奥がツンとして
なにもしてないのに自然と涙が出て
やばいんだけど・・・
と、いって笑って彼女の方を見ると
彼女も同じように笑って涙を浮かべていました。
やばいねこれ・・本当・・・やばい
そう言いながら 大きくむせ返った彼女は
どんどんエスカレートしていく咳とともに、
しだいに私に背を向けて
小さくうずくまって動かなくなりました。
なんとなく
音を途切れさせちゃいけない気がしたから
私はスプレーの底に穴をあけ続けました。
大丈夫?も違うし
なんとかなるよ、も違う
でも、気づかないふりはもっと違うから
とりあえず隣にしゃがんでスプレーの底に穴をあける。
そんな夜のことを 遺品整理、と聞くと思い出したりします。
大人になればなるほど。
わかりやすく痛みを表に出すということが
中々しづらくなってはきますが
受けたはずの傷を、なかったことには
やっぱりできないから
人は、いろんな乗り越え方や向き合い方を
自分自身の力で見つけていくのだと思います^^
そして、その一つが「本を読む」 という行為なのかもしれません。
おそらく、そう遠くない未来に。
きっといつかは自分もするであろう
その静かな行いを
たまたま今、この仕事で 関わらせていただけけていることを
とても貴重な時間だと思っています。
もしも、どこかでご縁があった際には
できるだけ次の方にも
大切に繋げていきたいと思ってますので
どうかその時は、よろしくお願いいたします^^
なんとかするということ
入んなかったらどうしようとか
あんま考えない方が良いよ?
「入れるの、なんとかして入れる!」
そう言って前を向いた顔は
何だかとても、頼もしく見えました。
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
これは数ヶ月前。
私がまだここで働き始めて
一ヶ月も経ってないんじゃないかな・・?
くらいの時の出来事なのですが
誰がどう見たって入りきらないだろっ!
という量の、それはそれは大量の本という本を
“ なんとかして事務所内に入れなければ帰れない ”
という状況に陥った時に
うちで働く主婦の一人が、いった言葉でした。
その言い方はいっけん鋭く
あ・・私、入ったばっかのくせに
「これって本当に入りますかね・・・」
とか余計なこと言っちゃったかなぁ・・・
なんて一瞬よぎったりもしたのですが
不思議なもので。
なんとかする
と決めている人間の顔というのは
ただただ頼もしく
んなこと考えてる場合じゃないわな
さて、どうするか。
と、いったふうに
自然とこちらも同じ方向に
引っ張られてしまう力を持っているのでした。
きっと。
人が何かをなんとかするんだって
決めてしまうのって
すごいことなんだと思います^^
あ、これを書いていて、
今 久しぶりに昔の記憶の引き出しも
一緒に引っ張られてしまったのですが・・・
あれはまだ、私が大学生くらいの時だったでしょうか。
深夜のコンビニエンスストアで
アルバイトをしていた時のことでした。
「・・・・マイルド一つ。」
いきなり言われたタバコの銘柄を
うまく聞き取ることができず
すいません、もう一度お願いします・・・
と、聞き返しているうちに
信じられないほどお客さんを
怒らせてしまったことがありました。
「あんた、耳ついてんの?!」
「ついてんのかって聞いてんだよ!!」
どう答えたらいいのかわからず
ただただその勢いにのまれてしまったところに
「あ、あの・・・あっちのレジお願いします・・。」
といって、入ってきてくれたのは
当時、40代半ばくらいだった
とても寡黙な男性スタッフでした。
彼は、たしか昼間は
介護の仕事をしていた方だと思うのですが
もともと人と話すのが得意な方ではなく
お客さんとのやりとりを見ていても
ボソボソと、しどろもどろになってしまうことが多いため
そんな人が一体どうやって
この場を収めるんだろう・・・
と、内心バクバクでその場を代わってもらったのですが・・・
案の定。
私よりもオロオロしてしまい
話せば話すほど、お客さんの怒りをかい
店内には、それこそ 耳がとれるんじゃないかというほどの
とんでもないボリュームの罵声が響き渡りました。
これはやばい・・・
もう一度、きちんと謝らなきゃ・・・
そう思って、彼の方に体を向けた時でした。
彼は、私にだけわかる角度で
来なくていいよ、と
手のひらをこちらに向けたのでした。
その手のひらを見た時。
何故だかものすごく グッとくるものがあり
思わず目の奥がじわっとなってしまったのを
今でも覚えています。
それはおそらく
ぐちゃぐちゃでも良いから
上手く立ち回れなくてもいいから
それでも
なんとかしようとしてくれたこと
そのものに心動かされたのだと思いました。
人がなにかを本気で
なんとかしようとする姿勢というのは
それがどれだけ不出来なものであっても
どこか心を打つものがあるのかもしれません。
もしかしたら、かっこ悪いって
一番かっこいいのかもしれない・・・
「これって、本当に全部入るんですかね・・・」
と言っていたのが、嘘かのように
あれだけ溢れていた本の山は
これ以上の正解はなかったんじゃないか?
と思うほどにピタリと隙間なく
事務所内におさまったのでした^^
「これ、明日出勤したらどうやって入るんだろう。」
と、私が言うと
「明日は明日でなんとかするんだよ。」
という球が、コンマ1秒で跳ね返ってきました。
あ、また余計なことを・・・
なんとかする精神
まだまだ修行が足りないようです^^
古本屋として独立するため、スタッフが一人旅立ちました
「たくやさん、本当にやめちゃうんですかね。」
「がぃいっ?」
「ちょっと・・・声・・・」
大きいですって・・・
と、同僚の男性スタッフに
帰りの電車の中で小さく注意されたのは
つい一ヶ月ほど前のことだったでしょうか。
どうやら人は本当に驚くと
がぃい、というあまり聞き馴染みのない音を
出すことがあるようです。
「やめるって・・・なんでですか?」
「いや、鹿児島で独立するらしいですよ。」
あ・・・そっか。
そうだった、そうなのです。
うちで働くスタッフの中には、けっこうな割合で
“自分のお店を持ちたい”
と、独立を考えている者も多く
彼も、その中の一人であることを、私はすっかり忘れていたのでした。
そっかぁ、そうだったんだ。
そういえば・・・と思い出すのは
千葉県の山奥にあるとてもオシャレなお家に
彼と一緒に買取に行った時のことでした。
「あなたは、本が好きでこういう仕事をしてるの?」
本棚を一つ隔てた向こう側の空間から
70代くらいのとてもオシャレな女性のお客様が
彼に向かって、話しかけている声が聞こえて来ました。
「はい、古本屋になりたくて。鹿児島から飛び出してきました。」
あら、そう、そうなの。
どんな本が好きなの
好きな作家さんはいるの
鹿児島ってどのあたりかしら・・・・
スルスルとこちら側にも
時おり流れ込んでくるそのやりとりは
どちらのものも、まるで音符がついているかのように
リズムよく弾み
聞いていてとても心地良いものでした。
そっか、たくやさんって
鹿児島から、わざわざ古本屋になるために
こっちにきた人なんだなぁ。
その時、そう思ったのを覚えています。
“たくやくんのお別れ会を開きたいと思います!”
そうグループラインに送られてきた時には
あまりにも日程が唐突すぎて
私は予定が合わず、出席することができなかったのですが・・・
後日、送られてきた写真には
少しだけ髪を切り、新・たくやに生まれ変わった姿が
うつっていました^^
えぇ・・・この度はその
カクカクシカジカにより独立することになり・・・
「よっ!たくやっ!おめでと~!」
あ、ありがとうございます・・・(照)
そのぉ・・本当に・・・皆さんには今まで・・・
「たくやさん!これ皆んなからです!(サッ)」
えっ・・・あぁ、良いの?
うわぁぁぁぁぁぁい^^
こんな感じだったのでは?
と、予想しています。
「ちょっと・・・声、大きいですって。」
そう電車の中で、注意してくれた彼も、たしか独立志望でだったはずです。
もしかしたら、来年の今頃は
彼の独立をどこかで祝っているかもしれません。
一つ屋根の下。
たまたま同じタイミングで集まった今の仲間が
どうか。
これから先もずっと
笑って歩いていけますように。
迷ったり、ひらめいたり、諦めたりしながら。
それでもなんとか
こんどは自分の足で
笑って歩いていけますように。
山形県に買取に行ってきました
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
遠方への出張買取がここ最近 増えてきている東京書房ですが
ついに・・・
私にもその機会がまわって参りました。
そうです、前回の記事でもチラッと触れた 山形県への出張買取です^^
「聞いてる?片道、5時間半かかるらしいよ?」
「着いたらたぶんもう深夜だろうね~。」
そんな会話をしたのは つい1ヶ月くらい前のことだったでしょうか。
気づくと時はスルスル流れ
我々一行はついに、その日を迎えたのでした!
出発前、ナビに行き先を入れて、まぁビックリ。
到着予定時刻、0時半!
長い長い道のりの始まりです^^
ついた頃には案の定
深夜1時を、あと少しでまわりそうな気配でしたが・・・
なんだろう、ワクワクする。
うん、なぜだかすごくワクワクするのです。
(これは、久しぶりに寝れないかもしれない・・・)
そう、なんと言いますか、
ここ最近、 理屈ではあまり説明できない
この仕事のなぞめいた魅力にハマりつつあっ・・・
といいつつ、信じられないほどグッスリ眠った
次の日。
我々一行は、現地に直行すべく
絵に描いたような ザ・山道を
右にゆられ 左にゆられ
それぞれの肩をユッサユッサと 揺らしながら
向かって行ったのでした。
着いた頃には 少しだけ小雨が降っていましたが
とりあえず、玄関から挨拶をし
本の状態や、全体量などのお話を聞きつつ、見させていただき
あとはもう、仕分けしながら・・・
運ぶ、運ぶ、運ぶ。
今回はうちの店だけでなく 本の運送専門業者さんにも来ていただいたので
2トントラックにドーンっ!
と 乗りきる分だけ、乗せていただきました^^
(たしかカーゴ8台分だったような・・・)
あっ、気づいたら空がほんのり晴れてきてます^^
そんなこんなで、それぞれ作業を続けること・・・
数時間。
気づくと本棚はすっからかんになり・・・
(あぁ、肝心な写真を撮りそびれた・・・)
お客様には、最後のお話をさせていただき
(お部屋の最終チェックや、お振込に関すること等)
今回も無事、終えることが出来ました^^
みなさま、本当にお疲れ様でしたー^^
ちなみに今回は
予定よりも少しだけ早く、作業を終えることが出来たので
帰る前に、さくらんぼでも食べてこ~ってことで
さくらんぼ狩りのできる施設に 寄ってから帰ってきました。
本場山形の… 小さな赤い粒にそれぞれ魅了されるスタッフ達^^
もくもくと観察するタイプ・・・
ニヤけるタイプ・・・
食べすぎるタイプ・・・
それもそのはず。
こんなに蜜が滲み出る木から生えた実が・・・
美味しくないわけないじゃないですか^^
千葉県にある大学の古本買取が終わりました
ついに・・・
先月から何度もコツコツと通っていた
千葉県にある大学図書館の古本買取が終わりました!
「さっき写真送っといたから、見といて^^」
仕事中、すれ違いざまに、社長の和田にそう言われ・・・
なんだなんだと、こっそりスマホを覗きこむと
そこには、はじからはじまで
風が吹いたらサーっと一気に吹き抜けていきそうな
ガランとした本棚がいくつも並んでいました。
あぁ・・・緑のブックエンドが眩しい・・・
初日に現場に行ったスタッフは
「本当にすっごい量だよ!!」
「まぁ、見てみたらわかるさぁ。アっハハハっハー!!」
と若干、違和感のあるテンションで帰ってきていましたが・・・
それもそのはず。
私も現場に行かせてもらいましたが
両サイド、身長よりも高い本棚に、ギッシリ詰まった本の壁は・・・
歩けども歩けども続き・・・
これがまだ、別館にも2ヶ所くらいあるらしいよ!
と、聞いた時には・・・さすがの私も脳が痺れました。
しかーし!
圧倒されているだけでは、もちろん何にも変わらないので
とりあえず、一個ずつ。
出来ることからやっていきましょうっ!
・・・と、いうことで
まずは一冊づつ。
コツコツと、内容や状態を確認し
仕分ける者と、それを台車に乗せる者。
車に運ぶ者に分かれ、それぞれ作業を進めていきました。
途中、終わりが見えなくて 心が折れそうになった時は
グランウンドで野球をする学生たちに
こっそり癒されにいく者も・・・
そんなふうにコツコツとみんなで手分けをして、作業を続けていくこと数日間。
(近くのホテルに泊まった者もいたのだとか。)
ようやく先ほどのような、ガランとした本棚が浮かび上がってきました^^
うん、綺麗!
今回も、本当に本当にお疲れ様でした^^
大学側の皆様も、何日間もご協力いただき、本当にありがとうございます^^
東京書房では、今回のように
自分達がやったことないような量の本でも
何とかできないものか・・・!と
スタッフ一同、試行錯誤させていただきますので
どんな人が今でも本を読むのだろう?
「最近の若い人は、本なんて読むの?」
先日、店頭に直接、本を持ってきてくれたお客様に
そんなことを聞かれました。
「うーん、どうなんですかねぇ。」
「やっぱりスマホとかの方が、圧倒的に多いような気はしますけどね。」
と、私がいうと
「そうだよね、活字なんてもう読まないよね〜。」
時代だよなぁ、まぁでも・・・
悪いことばっかりじゃないけどね、便利なことも増えたし。
みたいな終着点に、話はたしか落ち着いたとは思うのですが・・・
そういえば、どんな人が今でも本というものを、わざわざ手に取って読むのだろう?
と、ふと思ったりしました。
思い返してみれば、私が初めて自主的に本を読んだのは
大学一年生のころでした。
当時、仲の良かった友達のカバンから
ひょこっと文庫本が飛び出していたのを見つけ
「何これ?」
と聞くと
「本だけど。」
「え?なに読んでんの?」
アベコーボー
その言葉は、聞いたことない何かの呪文のように響きました。
「・・・どういう本なの?」
「えっと、人がビルから飛び降りたら、棒になるっていう。」
「ん?」
「いや、だから。人がビルから飛び降りたら、棒になるんだよ。」
意味がわかりませんでした。
意味はわからなかったけれど、その意味のわからないものを
誰に言われたわけでもなく
勝手に一人で選んで読んでいる目の前の子が
なぜだか、ものすごく魅力的に見えてきて
「とりあえず、読みやすいのを一つ。」
と、オススメを借りだしたのが
私にとっての、本との出会いでした^^
その中には、合うものもあったけど 合わないものもありました。
難しすぎて、何のためにこんなものを・・・
と、読み始めたこと自体を後悔するものもあれば
あれこれ調べながらなんとか最後まで辿りついたは良いものの
一つもしっくりこないじゃないか!
と、怒りたくなるようなものも結構ありました。
・・・でも。 まれに。
本当にまれに。
信じられないくらい沁みる一行というのに出会うこともありました。
それは、それ一つで人生が変わる!
というような、劇的な魔法の言葉というわけではないのですが
自分にとってすごく大事なものである
ということだけはハッキリわかる、そういう類のものでした。
ああ、そうだ!
ああいう一行に出会った時の
「ハッ!」が面白くて
私は、読書というものにハマっていったんだよなぁ。
そんなことを思い出していると
やっぱり、本を読む人というのは
好みは違えど
“ 自分の中のなにかを動かしたくて読む ”
というところでは どこか繋がっているような気がしてきました。
色んな種類の媒体が
あれよあれよと、わんさか溢れるこの時代に
文字を読むというものすごく原始的な方法でもって
自分だけの感動を得ようとする、全ての人に。
やっぱり、本って、最高ですよね^^
山梨県へ古本の買取に行ってきました
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
つい2〜3日くらい前のことです。
「そういえば明日、山梨行くんじゃなかったっけ?」
と、帰り際にスタッフに言われたので
「あ、そうなんです。どんな所なんですかね。」
と言うと
「私、一回行ったことあるよ。」
「たしか、和綴じの本がたくさんあったところだと思う。」
と、教えてくれました^ ^
聞くと、お伺いするのは2回目とのことで、あらためてご予約を入れてくれたそうです。
これは遠方に限らず、買取に伺うとたまにあることなのですが
作業している姿を見たり、本の状態や、お値段についてなど
あらゆるコミュニケーションをとる中で、少しずつ信頼してくださるのか
「実は、こっちもあって…」 と
当日行ってみたら 予定していた量よりも多くお願いしてくださることがあります。
そんなときは、車に乗る量であれば大丈夫なのですが
乗り切らなかった場合は、こうやってあらためて別日に お伺いさせて頂くことがあります^ ^
ちなみにこちらは、山梨県の買取りで
自宅とは別宅にある 〝蔵の中もみてほしい〟 とのご相談だったので
スタッフと一緒に、状態を確認しながら ひとつひとつ
お客様の意志を 確認しているところです。
作業自体は、2時間ちょっとでスッと終えることができたので
帰りはパーキングエリアで、皆んなでほうとうを食べ、山梨の魅力もぞんぶんに味わってきました^ ^
ちなみに、これは余談なのですが・・・
帰りの高速道路で、運転していたスタッフが
「なんだあれ…」
と、ボソッとつぶやいたので、視線の先に目をやると・・・
なんと山の中に大きなラブレターが落ちていました。
だ、誰が落としたんだ・・・!
と、言うことで気になってになって調べると
地元在住の高橋政行さんという方がつくった〝緑のラブレター〟という作品でした。
もしも、山梨方面に行かれることがあったら 覗いてみてください^^
(中央自動車道の下り線から見ることが出来ます。)
沖縄へ出張買取に行ってきました
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^^
一ヶ月くらい前のことです。
「そういえば、沖縄の買取きまったらしいよ。」
と、出勤するなりスタッフから言われ
(あ、本当に行くんだ・・・)
と、心の中で密かに驚いてしまいました。
というのも、私自身、ここで働き始めてまだ半年ほどなのですが
“ 古本屋 ”という仕事が、こんなにも毎日色んな場所に出向いて
大量の本を、ワッセワッセと運び出すイメージが まるでなかったからです。
「あのね、入ったばっかりの人には言ってるんだけどねぇ。」
「うちの仕事は、本屋というより、引っ越し屋だと思った方がいいよ?あはははは~。」
そんなふうに、初日に囲まれて言われた記憶がじんわり蘇ります。
に、しても沖縄って···!
さすがに遠すぎやしないか?
と思ったのも束の間。
気づくとスタッフ4人を乗せた飛行機は
ビューンっと勢いよくはるか南の島へと飛び立ち
数日後には
「大変だったよぉ~」
「思ったより量が多くてさぁ、延泊しちゃったよぉ~」
なんて言いながらも、大量の紅芋タルトを抱えて、サラッと帰ってきていました。
ちなみに沖縄での買取の様子はこんな感じです!
まず、お客様のご自宅にピンポーンとお伺いし
本の状態や、内容の確認をさせていただきます。
その後、ジャンルごとに仕分けしながら箱に詰め
みんなでワッセワッセと車に運び出し
佐川急便さんの倉庫に運ばせていただきました。
実際は、この何倍もの量があったそうです。
もちろん···
メインは首都圏内での買取をさせてもらっているので
今回のように遠方の場合は
“ どんな内容の本が 何冊くらいあるか ”
によって
“ 行ける場合と 行けない場合 ”
というのがどうしても、出てきてはしまうのですが···
それでも、できる限り 行ける可能性がある場合は
何とかできないかと試行錯誤させていただきますので
もしもお考えの本がある場合は一度ご相談いただけたらと思います^^
ちなみに来月は、山形県への買取を予定しています。
その時は、私も同行しますので、その様子もお伝えできたらと思っています^^
東京書房ってどこにあるの?
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
たまに、買取の電話をうけていると
「そちらは、どこにあるんですか?」 と聞かれることがあります。
そういう時、わたしはいつも
「川崎の〝宮崎台〟っていう駅にあるんですけど・・・」 とお答えするのですが
たいていピンと来てもらえません・・・。
なので、今回は宮崎台という駅の街並みから、東京書房までの道のりを
ゆっくり、お散歩しながらお伝えしていきたいと思います^ ^
まず、田園都市線の宮崎台駅の改札を出ますと すぐに見えるのが
〝電車とバスの博物館〟
こちらは知る人ぞ知る名スポットでして
普段は見られない電車とバスの裏側の世界へと
ショートトリップすることができる施設となっております!
ちなみに、わたしも先日、仕事の休憩時間中に行ってきたのですが
大人一人でフラッと入ってもけっこう楽しめます(入場料200円)
チケットも改札を通るみたいにピっとして入ることができます。
そんな電車とバスの博物館を
目の前に、くるっと左を向いていただきますと・・・
上の方に、宮崎台の〝北口の看板〟がドーンと下がっていますので
そこをくぐりぬけ、目の前の坂を〝右側〟に下っていきます。
すると、すぐ右手に 子どもだったら絶対届かないだろ!
と、ツッコミたくなるような 高さに設置された自動販売機が2つ
紅白なかよく ポンポンと並んでいます。
身長166センチの私でも上の段はぎりっぎりです。
さてそのまま坂を下っていきますと
これまた少し目を引く不思議な看板が・・
大きくそびえたつ鉄塔の真下に・・・
〝あぶない!のぼるのはやめましょう〟
とかかれた個性的な鳥の看板が見えてきます。
過去に登ろうとした方がいるのでしょうか・・・
その鉄塔の前には、小さな横断歩道があり、わたるとすぐスーパーのライフが見えます。
ライフを、ゆっくり左に沿いながら道なりに曲がっていきますと
右手にジブリ感まんさいの、古き良き階段がそびえ立ちます。
朝見ても、夕方見ても、いつもノスタルジックで美しいです^^
そしてその前には、これまたいつも美しく整頓された自転車置き場・・・
管理人の方が、汗をながしながら今日も朝から頑張っていました。
そんな自転車置き場を右手にしてまっすぐ進んでいただくと
今度は左側に〝みやざきだいようちえん〟
と書かれたキノコとお菓子のお家みたいなオブジェのある
メルヘンチックな幼稚園が見えます。
その幼稚園のすぐ隣には、われらが東京書房スタッフのいきつけ
お弁当屋のまるきゅう!
缶コーヒーをのみながらくつろげるスペースも
すぐ隣に設置されていますので、いつ行っても落ち着いて待つことができます。
そんなまるきゅうを通り過ぎますと、これまた小さな横断歩道!
秋はきれいなイチョウ並木、いまの時期(6月)は、あじさいが道路沿いにたくさん咲いています。
その横断歩道を渡りますと、すぐ左手にコインパーキングがありまして・・・
そのすぐ後ろに・・・・きました!
〝東京書房〟 到着です!
本を捨てないでのポスターがシャッターに貼ってあるのが目印です^^
「おはよう、何撮ってるの~?」
と、朝からスタッフが出迎えてくれました。
午前10時、今日もはじまります^^
※東京書房では、このように直接、宮崎台の駅から店頭にお越し頂いても大丈夫なのでお待ちしております。
思ってたのと違う!の先
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
これは数年前、上野でやっていたフェルメール展に行った時のことなのですが
すごく有名な〝牛乳を注ぐ女〟という作品を目にした時
思わず驚きが口からこぼれました。
…えっ、小さっ…
なんか、思ってたのと違う。。
その驚きは、小さいからガッカリしたというものではなく
見てみるまでは本当にわからないんだという一種の感動のようなものでした。
私が静かに驚いていると
いつのまにか するりと横に現れた50代くらいのご夫婦も
「なんかあれだな、小さいな。」
「ね、思ったより…ね。」
なんて会話を、これまた小さな声で話しているのが聞こえてきました。
人はもしかしたら、自分でも意識していないうちに
「おそらくこんなもんだろう」 というイメージを
どこかで作りあげてしまうところが、あるのかもしれません。
そんな 〝思ってたのと違う!〟 は、古本の仕事をしていても時として訪れます。
たとえば「こっちはダメだと思って…」と
お客様が、ご自分でよけておいた方の本のほうが
依頼したものよりもお値段がついてビックリされることもあれば
逆もしかり。
「これだけ量があるから、そこそこの値段にはなるだろう」
と思って、依頼してはみたものの
ジャンル的には、うちだとあまりお値段のつく分野ではなく
「こんなものなんですね…」
とストンと肩を落とされることもあります。
もちろんそれは、お客様だけでなくわれわれスタッフ側でもよく起こります。
たとえば100冊と依頼をうけお伺いしたら実際は1000冊だった…!とか
行ってみたら、車がとめられるはずだったスペースに
他の車がとまっていて停めれれないよ、どうしよう・・・とか。
お客様側にも、われわれ古本屋側にも
いろんな種類の〝思ってたのと違う〟が時として起こるのがこの仕事の特徴ではありますが
ひとつだけ確かなことは
思ってたのとは、違うかもしれないけど
それでも、やってみた先にのみ
予期せぬヤッター!や心温まる瞬間というのは
転がっている、ということなのかもしれません^^
もちろん、お客様をガッカリするようなタイプの思ってたのと違う!は
できるだけ感じさせないよう最善の努力はさせていただきますが
まずは「これってどうなんだろう?」という好奇心みたいなものから
繋がることができたら、嬉しいなと思います。
すごい量の本の整理について
「すごいよ、ほんっとにすごい量だから。」
そう言われて行ってみるとそこには
一般家庭では決してみることのないような量の本が、ずらりと並べられていました。
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
先日、千葉県にある大学の図書館に買取に行かせてもらったのですが
そこには、本・本・本。
あっちにも、こっちにも本。
…本!
「これと同じ量がね、あと別館にも2箇所くらいあるんだよ、ハハっ。」
そう言われた時、おもわず眼球が1mmくらい飛び出しました。
これはすごいことになるぞ・・・と思いつつ
とりあえず指示された通りに作業を進めていったのですが
半日くらい経って、ふと周りを見回してみると
そこには、来た時となにも変わらないような景色が広がっていました。
ハァ・・。
やってもやっても終わらない、という状況に
職場ではあまりついてはいけないタイプの息も吐きかけたのですが
それでも黙々と作業をしていく中で、ふと 思い出したことがありました。
それは昔、働いていたパスタ屋さんで
同じように、ものすごい量の仕事量を
急遽1人で、こなさなくてはならなくなってしまった日のことなのですが
やってもやっても止まらないオーダーに、信じられない量の洗い物。
もはや、何をどうやっていったらいいのかわからなくなってしまった時・・・
「ちょっと。」
と、当時の店長にうしろから呼びかけられました。
「あのね、大丈夫。いっこいっこやっていけば、必ずいつか終わるから。」
それだけ言うと、またすぐに
はーい!ただいまお伺いいたしまーす!
と、声をはりあげ客席の方にスタスタ戻っていってしまったのですが
そのとき、なぜだか妙にしみたのを覚えています。
たしかに。
いっこいっこやっていけば、必ずいつかは終わる、と。
当たり前のことだけど、何だかそれは
あらゆる物事の根幹に、あるもののような気もしました・・・
ひとつ、またひとつ。
終りが見えなくても、とりあえず一個一個、もくもくと手を動かしていくと
気づくと目の前には、一列だけ作業の終わった本棚がありました 。
ふと背伸びをして、遠くの方に目をやると
同じように黙々と作業をしているスタッフの姿も見えます。
一個一個なんだな、みんなも。
いっこいっこ、丁寧に、できることをやっていく。
それぞれに・・・でも、協力しながら。
そんなことを思った一日でした^ ^
東京書房では、大学のような
一般家庭とは比べ物にならない量の本を所蔵している施設への買取も
行っておりますので、ぜひお気軽にお電話くださいませ。
縁のかたち
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
先日、店頭に本を持ってきてくれたお客様が
「自由が丘の頃から、来てるんですよ〜」 と、教えてくれました。
自由が丘 、というのは まだうちのお店が、買取専門になる前の
普通に販売もしている古本屋さんだった頃のことです。
聞くと、もう10年以上前から通い続けてくれているとのこと。
10年、、という数字に
なんとなく、その頃の自分の状況を、思い返してみたりもしましたが
ふと、 そういえば10年以上どこかのお店に通い続けたことって
私にはないかもしれないなぁ、なんて思ったりもしました。
子どもの頃、通っていた街の駄菓子屋さんも
受験勉強で長時間いりびたったファミレスも
どうしても眠れない夜に たびたび立ち寄った深夜のレンタルビデオ店も
気づけばみんな違うお店や、駐車場へと入れ替わり
そこには自分の知らない、新しい時間が流れていました。
そうだよなぁ、通おうと思っても 向こうには向こうの時間が流れてるから
もしかしたら、 ながらくの「行きつけ」を作るのって
あんがい難しいことなのかもしれません。
現在、うちのお店では、店頭での販売はしていないので
なかなか、毎日 顔を合わすような常連さんに出会うことは少ないのですが
それでも、ふと 山積みになっている本を見た時に
「そういえば、そろそろあそこ持っていかなきゃ。」
と、よぎってもらえるような場所にしていけたらと思いました。
毎日、顔を合わす人も
年に数回だけあう人も
今は疎遠になってしまったけど、一時は深い時間をすごした人も
人にも、場所にも 。
きっと、いろんな縁があるけれど 。
ポツリポツリと訪れる 〝 本を整理する 〟という なにかしらの転機であるその時に。
「そういえば・・・」と、思い出してもらえるような
そんな形の縁というものを、これからも繋いでいけたら嬉しいです^ ^
たいせつなお知らせ〝景品表示法〟の改正について
こんにちは 東京書房スタッフのおはなです^ ^
今回は、大切なお知らせがあります。
おそらくホームページを持っている古本屋さんであれば
ほとんどの方が知っているであろうあのルールが、ついに改正されました。
その名も〝景品表示法〟 略して〝景表法〟です。
「な、なにが変わったんだ!」
ということを、私自身の理解を深める意味も込めて
今回は〝リユース経済新聞〟の一部を抜粋しながら共有させていただきたいと思います ^ ^
景品表示法とは、この記事によると
お客様が誤解したり、困ったりしないような売買ができるように
〝こうゆう表記はやめてあげてね〟
と言った、宣伝のしかたについて、まとめたものになります。
その中で今回、2024年4月18日に見直しが行われたのは
と、ありますがこれは簡単にいうと
「 うちのお店だったら、どこよりも高く買い取りますよ!」 と、うたいながら
実際には、それより大幅に低い値段での買取を行ったり
「 今だけ買取査定額20%アップです! 」 とうたいながら
実際には、その期間終了後も ずっと特別な期間であることをうたい続けたりする
と言ったような
「 思ってたのと違うじゃんか! 」
を招くような書き方は、控えましょう・・・と言ったものとのことです。
また、「買取金額保証」とうたいながら
注釈で「 ※ 買取額を保証するものではありません 」 と記載することも
のちのちトラブルにつながるケースが増えてきたことから
最低限、参考価格の表記や買取実績価格の記載の際には
商品名称や時期、 当時の為替など価格の定義を明確にした上で
通常の一般消費者に誤解を招かないようなわかりやすい記載を心がけてください。
(リユース経済新聞 2024年5月10日発行より)
との見直しが行われたとのことです。
なんの前触れもなく移り変わっていく世の中の決まりに
私自身もいつもドキドキしてしまいますが
その根底には、お客様も、お店の人も
できるだけトラブルが起きないような良好な関係が築いていけるように
といった目的が込められているようです。
価値のない本なんてないという話
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
本の買取をしているとたまに
「値段になるようなものは、ほとんどないとは思うんですけど…」と、恥ずかしそうに本をお持ちになる方がいます。
たしかに、そのジャンルや年代によって 値段のつきやすいものと、つきにくいものがあるのはたしかです。
でも、それはけして〝恥ずかしいもの〟でないことも、たしかです。
たとえば、私は小説がすごく好きですが、小説はうちのお店だとほとんど値段にならない分野だったりします。
でも、だからと言って、私の好きなその小説が
〝本として全く価値がないのかどうか〟と言うとけして、そういうわけではありません。
もちろんです、当たり前です^ ^
だって すぐれた本や、人の心を動かす物語りというのは
どれだけ時が流れようが その本質が色褪せることは、けしてないからです。
〝いいもの〟というのは、かならずいつの時代も受け継がれていくし
残されているものには 必ずどこかに〝ほんもの〟が流れているものです。
(と、個人的には思っています。。)
・・・が!
それが〝古本としての価値〟となると・・・
それとは、まったく別の角度で本を拝見し 値段をつけなくてはならないのが この仕事の難しいところだったりします。
なぜなら、古本というのは その本の希少性に対して値段がつく場合もあり
ベストセラーや古くからの名作など 〝世の中にたくさん出回ったもの〟についてはお値段がつきにくい場合があるからです。
でも、だからこそ、もう一度お伝えしておきたいのは
お持ちの本が、たとえお値段のつきにくいものだったとしても、けして〝価値のないものではない〟ということです。
なのでどうか、これからも好きでい続けてあげて欲しいと思うのです ^^
本を売る、買う。
たったそれだけのことですが、そこにはきっとお金という軸だけでは測れない、いろんなものが隠れています。
どうかそのあなただけの〝私の思う価値〟をこれからも大事にしてくれたらと思います。
その本を、必要としている人のもとへ届けるために
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
〝 買い取った本は、できるだけ、その本を必要としている方のもとに届たい 〟
ということを念頭に、いつも古本の買取をさせていただいてる東京書房ですが
では、実際 〝どうやって必要な人のもとへ届きやすくしているのか〟ということについて
今回は、お話ししたいなと思います^ ^
私もここで働くまで、全く知らなかったのですが
じつは、古本屋さんには 、古本屋さんだけしか参加することのできない〝古本市場〟というものが存在します 。
それはいったいどういった会なのか、と言うと
〝自分のお店ではなかなか売れないけど…〟という本を
みんなで持ち寄って交換しあう、といったことを、月に数回 行なっております。
…ん?
どうして自分のお店で売れないものが、他のお店だと売れるんだ?
と、お思いの方、いい質問です。(一回、言ってみたかった)
私も最初は、そう思いました。
が、それはなぜかということに、お答えさせていただきますと
じつは、古本屋さんには どのお店にも
〝 得意なジャンルと不得意なジャンル 〟というものが存在します。
小説が得意なところがあれば、写真集が得意なところもあるし、洋書が得意なところもあれば
そういった、それぞれの「私、これ、得意でーす!」 「でも、これは苦手です…。」
といった得意・不得意分野を理解しあいつつ
できるだけ、必要なところには必要なものが行き渡るように、みんなで協力しあって、交換こし合いましょう~
というのが、簡単に言うと古本市場という場所です^ ^
なので、お客様から買い取らせていただいた本の中に入っていた〝お値段のつかなかったもの〟 も
もしかしたらめぐりめぐって、日本全国のどこかの古本屋さんで
「あ、これ、懐かしい!」 と、今日、手に取っている方がいるかもしれません。
自分の本じゃない本を整理するとき
「ほら、ちょっと見てみたら?」
そう言って、娘さんが車に積まれた本を指さすと
「あらぁ、こんなにあったのか。。」と、目をまんまるにしたのは、お父さんご本人でした。
こんにちは、東京書房スタッフのおはなです^ ^
先日、府中市に買取に行かせていただいた時のことです。
向かう前に「〇〇時ごろ、到着できそうです。」と、お電話をしたところ
「よろしくお願いしますっ!…あ、ちょっと待ってください!」
「あの!CDとかもあるんですけど、そういうのは…」
「はい、買い取ってますよ。」
「ほんとですか!あとDVDとかも、あるんですけど…」
「はい、DVDも買い取ってます。」
「あ、ありがとうございます!…ねぇ、CDとかも大丈夫だってよー。」
電話を切る前、ほんのすこしだけ 受話器ごしに、相談しながら片付けている様子が聞こえてきました^ ^
到着して挨拶をすますと
通された2階の部屋には 、たくさんの本が、床一面ズラリと並べられていました。
「これ、すべて読まれたんですか?」 と聞くと、それらはすべて、昔からお父さんが集めてきたものなのだそうです。
ところが数年前から目を悪くされ、とっておいても もう読み返すことはないだろう…
ということで 今回、ようやく決心して依頼をしてくれたとのことでした。
「大変だったんですよ。話してるとなかなか片付かなくて。」
そう言って、困った顔で微笑んだ娘さんは、この日のために、ちゃんと話し合って、なんとか整理することを決めて
お仕事など時間の調整もしたうえで 今、こうやってご実家に来てくれていることを思うと、とてもお父さん思いの方だなぁ、といった印象をうけました。
これは、買取にうかがうとたまに思うことなのですが〝 自分のものじゃないものを整理すること 〟って
きっと、ものすごく、気力も体力も使う行為なのだと思います。
自分の一存だけでは決められないし、かといって残しておいても片付かないし
ご家族の方なら、よりいっそう、どれだけ本人が大切にして来たのかを見てきているはずなので
簡単に整理するのも なんだか悪いことしてるような気持ちになってしまうこともあるだろうし ・・・
そういった いろんな葛藤を乗り越えて、今、こうやって具体的に物事が進んでいってるんだな…
と思うと、できるだけこちらも、次の方に繋げられるよう尽さねば といった気持ちになります^ ^
作業が終わり〝こんな感じになりました〟と 娘さんに車に積んだ本をお見せすると
「おおー!ちょっとお父さん、すごいよ、見てよー!」と言ってお父さんを呼びにいき
お父さんも「こんなに読んだんだなぁ・・・」としみじみその様子を見て、うなずかれていました。
長年、大切にしてきた本を手放すのはとても寂しいことです。
でも、きっと。
その、空いたスペースには、また別の新しいものが入ります。
そしてまたその新しいものが、かならず新しい会話や思い出を作ってくれます。
そうやって、いろんな物事は、次へと、そしてまた次へと・・・少しずつ繋がっていくんだな~と思うと
なんだか久しぶりに自分の実家のことなんかも思い出したりして、帰り道ほんのすこしだけ懐かしくなりました。